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診療実績・臨床指標

乳がん治療について

乳がんについて乳がん検査のながれ乳がん治療について乳がんの早期発見に向けて乳がん検診のご案内


当院の乳がん治療のスペシャリスト

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田中 眞紀 たなか まき 山口 美樹 やまぐち みき 竹中 美貴 たけなか みき
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乳腺外科診療実績

乳がんについて

日本乳癌学会HP

乳がんは増加しています

乳がんはわが国においても確実に増加傾向を示しています。2017年の乳がんによる死亡者数は14,285人でした。乳がんにかかる年齢は30歳代から55歳という比較的若い世代で死因のトップになっています。検診による早期発見・新薬の登場で予後の改善が期待されます。

 

セルフチェックで発見できる乳がん

乳がんは内臓の病気と違って体表の乳房にある乳腺から発生しますから自分で発見できる唯一のがんといってもいいでしょう。しこり(腫瘤)は1〜2cmになると自分でも触れることができます。しこりそのものは痛みを伴わないことが多いのですが、ときには「腫れぼったい」「押さえると痛い」などの症状で病院に受診してがんを発見されることがあります。閉経前の女性では月経前に乳房の腫れや痛みを感じることが多く、さらに正常な乳腺をしこりの様に触れることがありますので月経終了後に触ってみてしこりを触れる場合には精密検査が必要です。乳腺症や線維腺腫といった良性のしこりも多いのでしこりがあるから「乳がん」と決め付ける必要はありません。時々乳房をわしづかみにして乳房全体をしこりと勘違いしあわてて病院に駆け込んで来られる方もありますが、自分で触診する場合は人差し指、中指、薬指をのばした指先で乳房全体を滑るように触るのがコツです。

がんが周りの組織を巻きこむようにして大きくなる際に皮膚が奥にひっぱられてえくぼのようなくぼみができることや、乳房全体が変形して両側の形や高さに左右差が現れてくることもあります。また乳頭の近くにがんができると乳頭の陥没や乳頭の軸の変位をきたすことがあります。稀ですが乳頭に湿疹のような変化をきたすパジェットがんといわれるものもあります。乳頭には約20個の乳汁を分泌する乳口がありますが、その乳口からミルク以外の分泌液が出ていないかどうかも観察する必要があります。分泌液には水のように無色なもの、やや黄色っぽく透明なもの、茶褐色のシミが付着している場合にも乳頭からの分泌物があると判断します。片側の乳頭のひとつの乳口から茶褐色や血性の分泌液を認める場合には乳がんの可能性も高くなります。
いずれにしても異常を感じたらすぐに専門医に受診することが大切です。

乳房のセルフチェック方法(PDF)

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乳がん検査のながれ

1. 視診・触診

医師が乳房や腋のしこり、乳房全体の形などに異常が認められないか診察を行います。
また、乳頭から分泌液が出ていないかチェックします。

 

2.マンモグラフィ検査

乳房専用のX線装置で乳房を2枚の板ではさみ、圧迫して撮影する検査法です。触診では診断しにくい小さなしこりや、しこりになる前の石灰化した微細な乳がんの発見に有効な検査です。 また、マンモグラフィ検査は早期の乳がんを発見するのに欠かせない検査です。当院には乳がんの治療はもとより健康管理センターで行っている乳がん検診にも多くの方にお越しいただいています。 X線が低線量で患者さんのお身体にも優しい最新型のマンモグラフィ装置を2台設置しており、診療で使う装置、健診で使う装置と使い分けることで患者さんにお待ちいただく時間を少なくするよう心がけています。 マンモグラフィ検査は微細な異常をみつけるために、非常に高い精度が要求される検査です。検査を担当させていただく診療放射線技師はマンモグラフィ検査を行うための専門的な知識や技術を認められた「検診マンモグラフィ撮影認定診療放射線技師」の認定を受けています。

564344 また、当院のレントゲン写真は「乳がんの早期発見に有効な診断価値の高い画像」であることを認められ、マンモグラフィ検 診施設の中でも最も上位の認定である「マンモグラフィ検診施設画像認定施設(A評価)」の施設認定を受けています。

マンモグラフィ検査の結果で異常の有無を判定する(読影)医師も、マンモグラフィ読影試験で認定を受けた医師が行っており、確かな診断に努めています。
当院は、NPO法人マンモグラフィ検診精度管理中央委員会より平成24年10月1日付で「マンモグラフィ検診施設画像認定施設(デジタル:ソフトコピー)」の認定を受けました。 これからも、より精度の高い乳がんの診断に努めてまいります。

・検診マンモグラフィ撮影認定放射線技師
・マンモグラフィ検診施設画像認定施設
・検診マンモグラフィ読影認定医師
については以下のホームページからご確認ください。
NPO法人日本乳がん検診精度管理中央機構HP

マンモグラフィ検査は、検診マンモグラフィ撮影認定診療放射線技師が行います。

 
 新たな撮影法 トモシンセシス
tomosinsesisu トモシンセシス画像は3Dマンモグラフィとも呼ばれ、通常のマンモグラフィ(2Dマンモグラフィ)と同様に乳房を2枚の板ではさみ、圧迫した状態で複数の角度から連続的に撮影する方法です。通常のマンモグラフィよりもさらに10秒程度圧迫時間が長くなりますが、極端に被ばく線量を増やすことなく、より乳房の中の構造が分かる断層画像が得られます。

従来のマンモグラフィでは乳腺が重なりあって、その中のしこりが隠れているのか分からないこともありますが、トモシンセシス撮影を追加で行うことで発見が難しかった病変の観察がしやすくなります。
 マンモグラフィの読影
当院では、年間6,000件を超える検診マンモグラフィの読影を行っております。読影はマンモグラフィ読影認定のA判定を持つ医師が、必ずダブルチェックを行っています。また、過去に当院でマンモグラフィーを撮影された事がある場合、過去画像との比較で変化がないか丁寧に読影し、より精度が高い診断に努めています。 img15-2019

 

3.超音波検査(エコー検査)

564347 乳房超音波検査では、乳房に超音波をあてて内部からはね返ってくる反射波を画像化し、乳腺の状態を調べます。乳腺が密な若い人の診断にも有効です。 超音波検査は音波を利用しての画像検査ですので痛みはありません。

 

4.細胞診検査・組織診検査(生検)

画像の検査で乳がんを疑うからといって直ちに治療を行うことはありません。良性か悪性かを調べる必要があります。確定診断をつけるには次の方法が一般的です。

腫瘤に細い注射針を刺し中の細胞を顕微鏡でみて良性か悪性かを判断するのを細胞診といいます。乳頭からの分泌液も直接プレパラートに採って調べます。細胞診で診断がつかない場合に腫瘤の組織を採って顕微鏡検査を行うことを組織診(生検)といいます。より太い針で採取する針生検(ニードルバイオプシー)、吸引式針生検、皮膚を切開して腫瘤を摘出して調べる切開生検があります。これらは局所麻酔で行います。

マンモグラフィ検査や超音波検査で、乳がんが疑われ、触診で分からないような小さな腫瘤(しこり)や石灰化に対して組織診断を行います。
マンモグラフィや超音波の画像をみながら、乳がんが疑われる部位に直径が3mm程の生検針を刺し、組織を採取する検査法です。 皮膚切開生検と比べて、痕が小さく目立たないうえに比較的短時間で施行でき外来で行えるなど、患者さんにとって非常に有用な検査といえます。

2012-2019CNB2012-2019gaidoka【当院乳腺外科診療実績より】
吸引式針生検の特徴
  • 早期の小さな乳がんでも正確な検査が可能です。
  •  5mm以下の小さな創で、縫合の必要がありません。
  •  検査の後は小さな傷跡が一つだけです。
  •  局所麻酔下で行いますので、ほとんど痛みは感じません。
  •  入院の必要がありません。
吸引式針生検の適応
ステレオガイド下、またはトモシンセシス下 マンモグラフィの画像が
1.カテゴリ3以上の石灰化を主体としている
2.超音波検査で描写不可
3.腫瘤を触知しない

超音波ガイド下 超音波検査で描写される悪性を否定できない腫瘤陰影のうち
1.触知しない
2.細胞診で診断困難
3.針生検が不可能な場合
 

乳がん治療について

年間は350~400例弱の乳がん手術を行っています。乳がんの外来化学療法は延べ2,990例です。 これからも地域の乳がん治療の中核的な役割を担っていきたいと考えています。 日本乳癌学会より、日本乳癌学会認定医および専門医を育成する研修施設として認定されています。 乳がんの治療としては以下のようなものがあります。 2012-2019OPEsyourei+ryosei2

 【当院乳腺外科診療実績より】


1.手術療法 乳がんの手術

乳がんの手術は2つに大別されます。乳房のふくらみを残す乳房温存手術乳房のふくらみを取ってしまう乳房切除術です。がんの手術は受け入れたとしても、できれば乳房を残したいと願うのが女性です。
乳房温存療法
しこり(腫瘍)が1つだけで大きさが3cm以下、がんの拡がりがひどくないと判断された場合に乳房温存手術が可能となります。しこりを含めて乳腺を部分的に切除し、手術後に乳房へ放射線をあてます。しこりが大きくて適応からはずれても乳房温存を希望する場合には前もって薬でしこりを小さくしてから乳房温存手術をすることができます。 img10
乳房温存手術後の放射線療法について
乳房温存手術を選択された患者さまは、手術後に放射線療法がおこなわれます。乳房温存手術後の放射線療法は、残った乳房の乳房内再発を低下させるために重要な治療のひとつです。 温存手術をおこなった乳房全体に放射線をあてて治療を行いますが、放射線の治療は一度にたくさんの放射線をあててしまうと、身体への負担(侵襲)が大きいので、毎日少しずつあてて治療していきます。 標準治療で、約5~7週間の期間、月曜日~金曜日まで毎日通院していただき治療を行います。
 
乳房切除術
乳房と腋のリンパ節を摘出します。たいていの場合は乳房の下にある大胸筋や小胸筋といった筋肉を残す胸筋温存乳房切除術です。
センチネルリンパ節生検
これまで乳がんの手術は腋のリンパ節を切除するのがあたりまえでした。しかし術後に腕が腫れて日常生活に差し障りが生じている方も少なからずいらっしゃいます。そこで不要な手術を減らそうと始まったのがセンチネルリンパ節生検です。 乳がんの手術直前にセンチネルリンパ節という見張りリンパ節だけを摘出して顕微鏡検査を行います。そのリンパ節に転移がなければ他のリンパ節にもないと判断してリンパ節の切除は行いません。
センチネルリンパ節生検の方法
確実に見張りのリンパ節(センチネルリンパ節)を診断するためにアイソトープ(放射線物質)と色素を用いた併用法で行っています。手術前日に乳頭下にアイソトープを注射したのち腋窩部の撮影を行い、センチネルリンパ節の場所・個数を確認します(写真1)。手術時には全身麻酔がかかった後に乳頭下に色素を注射し、前日確認したリンパ節が色素で染まっていることを確認して1個あるいは2個のセンチネルリンパ節を採取します(写真2・3)。手術中に採取したリンパ節は直ちに2mm切片として捺印細胞診(写真4)、ならびにすべての切片でCK19mRNAを測定するOSNA法(写真5)という2種類の方法で転移の有無を確認します。約40分で判明します。 img11
 
乳房再建術
乳房を切除した場合でも乳房のようなふくらみをつくることができます。背中や腹の皮膚・脂肪・筋肉を移植する方法と人工乳房を用いる方法があります。人工乳房を用いる場合には、まず残っている胸筋の下に組織を伸展させるエキスパンダー(組織伸展拡張器)を挿入し生理食塩水を徐々に注入しながら風船をふくらますように皮膚や筋肉をのばします。十分にふくらませた後にエキスパンダーを抜去して人工乳房に入れ替え、乳輪・乳頭をつくります。手術は数回に分けて行うことになります。これらの乳房再建手術は形成外科医との連携がかかせません。
2013年7月から組織拡張器を用いた人工乳房による再建が保険適応となりました。
当院は日本乳房オンコプラスティックサージャリー学会 乳房再建用インプラント/エキスパンダー実施施設です。

オンコプラスティックサージャリー学会
形成外科医との連携
女性にとって乳がんで乳房を失うことは精神的にも大変な苦痛です。
当院では、形成外科医 矢永博子医師との連携により、患者さんの術後のフォローに努めています。
乳房再建やその他の形成手術に関するご相談をお受けしています。

img13 形成外科医
矢永 博子 やなが ひろこ

医療法人 Yanaga CLinic院長
医療法人Yanaga CLinicのホームページはこちらから

< 診察日 >
毎月第4水曜日
受付時間: 12:30〜
(診察日は変更になる場合がございます)

※矢永医師による診察につきましては、外科外来を受診のうえご相談ください。

2. ホルモン療法

乳がんの中には、エストロゲン(細胞ホルモン)という女性ホルモンが作用してがん細胞の増殖を促進させるものがあります。調べるには、がん組織の一部を採取してホルモン受容体が存在するかどうか病理学的検査を行います。 受容体がある場合に「ホルモン依存性の乳がん」と呼びます。

このようなホルモン依存性の乳がんに対して、女性ホルモンの働きを抑えてがんの増殖を抑制させる治療がホルモン治療です。内分泌治療ともいいます。エストロゲンは閉経の前後で分泌される部位が異なるため、治療も閉経の前後で違ってきます。でも閉経に関わらず使うことができるのがタモキシフェンという抗エストロゲン剤です。
閉経前の場合
閉経前にはエストロゲンは卵巣から分泌されています。したがってホルモン治療の目的は、卵巣からエストロゲンが分泌されないようにすることです。卵巣を摘出する方法も長く行われてきましたが、卵巣摘出に匹敵するような薬剤の開発によって手術をすることは少なくなりました。
エストロゲン分泌の仕組みは、まず脳にある視床下部というところから分泌される黄体ホルモン分泌刺激ホルモンが下垂体を刺激して黄体形成ホルモンと卵巣刺激ホルモンを分泌させます。これらのホルモンが卵巣を刺激してエストロゲンを分泌させます。
治療は、視床下部に作用する黄体ホルモン分泌刺激ホルモン抑制剤というホルモン剤を注射してエストロゲンの分泌をストップさせ人工的に閉経の状態にします。この治療を中止すると卵巣機能が回復するという長所があります。
婦人科の手術で子宮摘出をされて閉経している場合でも卵巣が残っている場合があるので、血中のエストロゲン濃度を測定して本当に閉経の状態になっているかどうかを調べます。
閉経後の場合
閉経後は末梢脂肪組織の中で、副腎でつくられる男性ホルモンがアロマターゼという酵素によってエストロゲンに変わります。
この酵素を抑えるアロマターゼ阻害剤という薬剤も有効です。ホルモン療法の副作用は軽いのが特徴ですが、タモキシフェンの長期間使用で子宮体部がんの発生が高くなるという報告もあります。
 

3.化学療法

乳がんの治療は全身治療としての薬物治療がとても重要な位置を占めています。場合によっては手術以上に重要といっても過言ではないでしょう。病巣の摘出手術が局所のコントロールをするのに対して薬物治療は全身をまわる微小ながん細胞をたたく治療です。
その内容は世界中の専門家が2年に1回集まって最新の情報を収集し、標準的な薬物の治療法を検討します。ホルモン剤を使う内分泌療法と抗がん剤を使う化学療法がありますが、今回は化学療法について説明します。ここで述べる化学療法は主に点滴注射で行う抗がん剤が中心です。乳がんに効果のある抗がん剤は比較的多くの種類があるのも特徴です。
術前化学療法
術後の化学療法と同等の再発を抑える効果を持っているので、標準治療のひとつです。乳房温存手術の適応からはずれている場合にもまず化学療法でしこりを小さくして乳房温存手術を可能にすることがあります。さらに術前に行えば、使用した抗がん剤が効くかどうかを知ることもできます。
術後化学療法
術前化学療法と同様に再発しないようにするのが目的ですから大変に重要です。手術の結果から、再発に対するリスク分類を行い適切な治療法を選択します。すなわちリンパ節への転移の有無、ホルモン依存性の有無、Her2蛋白発現の有無、がん細胞の核異型の程度などによって分類されます。乳がんの患者さんの約40%に抗がん剤による化学療法が行われています。ほとんどの場合、女性にとっては辛い脱毛を経験しますが、化学療法が終了すれば生えてくるのでウィッグなどで乗り越えることになります。 最近頭部冷却装置を用意し、希望があり適応がある方には試用しています。
再発の治療
再発した場合の治療の目的は、痛みなどの症状を緩和して生活の質を保つことです。手術時の結果でホルモン依存性があればホルモン剤の投与は行います。さらに選択肢の1つとしてBRCA1/2の変異の有無をPARP1阻害剤も保険適応となっています。しかし効果が消失した場合や症状が出現してもホルモン依存性がない場合には化学療法を行うことになります。
再発乳がんの場合
閉経後再発した場合の乳がん治療として、フルベストラント(フェソロデックス)という臀部に筋肉注射する薬剤もあります。 ※フルベストラント(フェソロデックス)はホルモン受容体自体を減少させ、エストロゲンの影響をうけにくくするものです。 再発乳がんの場合、内分泌療法の耐性化(効きにくくなること)が問題となる場合がありますが、その耐性化メカニズムを解決する薬物の一つです。 もう一つの治療として、エベロリムス(アフィニトール)とエキセメスタン(ホルモン剤)の組み合わせがあります。エベロリムス(アフィニトール)は分子標的薬の一つで、細胞分裂・増殖に関わっている因子の一つ、mTORを阻害するお薬です。 また現在、ホルモン療法薬と組み合わせて細胞周期をとめるCDK4/6阻害剤等も保険適応となっています。
乳がんの分子標的治療
① Her2陽性乳がんとは
細胞の増殖に関わる遺伝子蛋白「Her2(human epidermal growth factor receptor type2)」が過剰発現している乳がんのことで、原発性乳がんの約20〜30%に発現しています。Her2陰性の乳がんに比べると進行が早く再発の危険性が高い予後の悪い傾向を有します。検査は免疫染色法(IHC法)とHer2遺伝子の増幅を調べる方法(FISH法)とがあり、一般にはIHC法での0、1+、2+、3+のうち3+を強度発現とし2+に対してはFISH法を追加して確認します。

② 乳がんの薬物治療方針
ホルモン受容体の状況、Her2過剰発現/遺伝子増幅状況、再発リスクによって薬物治療の方針を決定します。再発リスクは、腋窩リンパ節転移状況、組織学的浸潤径、核異型度、脈管侵襲、年齢、Her2状況、ホルモン受容体状況に基づき低リスク、中間リスク、高リスクに分けます。さらに閉経状況を考慮して各病型に適した治療を行います。

③ Her2陽性乳がんの治療
Her2陽性乳がんの治療にはヒト化モノクロナール抗体トラスツズマブ(ハーセプチン)が用いられます。ハーセプチンはアンスラサイクリン系薬剤やタキサン系薬剤による化学療法後3週間ごとに1年間(18回)行います。

④ Her2陽性転移・再発乳がんの治療
ハーセプチンと化学療法の併用療法は有効です。この場合、ハーセプチンは毎週投与となります。最近新しい分子標的治療薬ラパチニブ(タイケルブ)が保険適応となりましたが、これはハーセプチンが無効の場合、カペシタビン(ゼローダ)との併用療法で経口投与します。

※2013年以降、Her2陽性乳がんには新たな2つの治療薬が保険適応になりました。
・ペルツズマブ(パージェタ)
これまでのトラスツズマブ(ハーセプチン)と化学療法の併用で使用します。従来と比べ生存期間が1.5倍に延長することが示されています。
・トラツズマブエムタンシン(TDM-1)(カドサイラ)
一つの薬でハーセプチンと抗がん剤が合体し、効率的に抗がん剤をがん細胞まで運んでいき、働きます。脱毛も少ないお薬です。

⑤ 分子標的治療の副作用
ハーセプチンは初回投与時に出現するinfusion reactionと心機能障害が問題で定期的に心機能検査が必要となります。
タイケルブは下痢と皮疹とされています。
ベバシズマブ(アバスチン)は手術不能・再発乳がんに対して抗がん剤のパクリタキセル(タキソール)と併用して点滴注射します。高血圧や出血といった副作用がみられることがあります。

分子標的治療薬の登場によって、Her2陽性乳がんの予後は明らかに改善されました。

 

乳がんの早期発見に向けて

乳がんの危険因子

前にも説明しましたが、乳がんの発生には女性ホルモンのエストロゲンが重要な働きをしています。したがって最近のライフスタイルの変化が高ホルモン環境をつくり乳がんの発生を増加させているのではないかと考えられています。
主な危険因子としては、遺伝(母や姉妹といった2親等以内に乳がんの経験者がいる)、早い初潮や遅い閉経年齢、晩婚、35歳以上の高齢初産、良性乳腺疾患の既往(異型を伴う過形成病変)、反対側に乳がんの既往がある場合、閉経後の肥満、過度の動物性脂肪やアルコールの摂取などがあげられます。
そこで予防は危険因子を遠ざけることです。運動をして肥満を予防することや過度の動物性脂肪やアルコールの摂取を控えることは今からでも可能です。

遺伝性乳がんについて【PDF】 

マンモグラフィ検診と乳房自己検診

564338乳がんにかかる女性は昭和60年に約2万人であったのが2014年には約7万6000人と増加し12人に1人の割合となりました。アメリカでは8人に1人と日本人に比べると高い数字ですが、アメリカではここ数年乳がんで死亡する人は減ってきているのです。これはアメリカ人女性の早期発見への意識が非常に高いことが影響しています。
市民団体や政府等による啓発活動も盛んに行われていますが、40歳以上でマンモグラフィ検診を受け、乳房セルフチェックを行う女性が多いのです。日本でも厚生労働省から各自治体に40歳以上の女性に対してマンモグラフィ検診を行うよう勧告が出され、多くの市町村で実施されていますが、まだまだ受診率は低いままです。 しかし乳がん患者さんの約80%は自分でしこりを触れて病院を受診し発見されている事実から考えると、女性はもっと自分の身体に関心を持って乳房自己検診を行うことが大切ではないでしょうか。毎月1回自分の乳房を触って観察し、年に1回マンモグラフィ検診を受けましょう。そして異状に気付いたら直ちに乳がん専門医を受診することです。診断の結果に納得がいかない場合には他の医師の意見(セカンドオピニオン)を聞く方法もあります。

乳がん検診をうけませんか

日本の乳がん発症率は年々増え続けています。現在では年間約72,000人の方が新たに患者になり、日本人女性の※12人に1人が乳がんにかかるといわれています。また、乳がんで亡くなる方は年間約14,000人。
当院の健康管理センターでは、乳がんの早期発見を目指して、経験豊かなスタッフが皆さんの乳がん検診を担当させていただきます。
※2014年現在

乳がん自費検診のご案内

受付 9時半〜10時(祝日は除く) ※予約制です。
料金
Aコース 4,750円 (マンモグラフィ検査・乳房セルフチェック指導)
Bコース 8,640円 (マンモグラフィ検査・超音波検査・乳房セルフチェック指導)
※画像検査の診断は複数の医師で行っています。
※久留米市、職場の乳がん検診の受診対象の方は、お受けいただけません。

ご予約先 / 地域医療機能推進機構 久留米総合病院 健康管理センター
TEL: 0942-33-1211
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